
また、個別の給付に加えて、その者の希望により、65歳から支給される老齢基礎年金の繰り上げ支給を併せて受給できることとされています。(図21)
なお、障害者や長期加入者(45年以上加入者)が退職した場合には、現行の給付と同額のものが支給されます。
次に、60歳以降も働いている厚生年金の被保険者である者に支給する「在職老齢年金」は、従来では低賃金の者に対して年金を特例的に支給するという考え方に立っていましたが、今回の改正では、この在職老齢年金の仕組みを抜本的に改め、賃金の増加に応じて、年金と賃金の合計額も増加していくように改めることとしました。
また、遺族年金については、まず遺族年金の支給要件等となる子の年齢について、年金が高校卒業まで支給されるよう、18歳を18歳の年度末まで延長することとしました。
遺族厚生年金と老齢厚生年金の併給調整については、現行制度では老齢厚生年金を受給していた夫婦のうち、配偶者(夫)が亡くなった世帯では本人(妻)は自分の老齢基礎年金と合わせて遺族厚生年金(配偶者(夫)の老齢基礎年金の3/4相当)か、本人(妻)自身の保険料拠出に基づく老齢厚生年金のどちらかを選択して受給できます。
この場合、現在受給者となるような世代では通常、女性の方が賃金も低く勤務時間も短いので、遺族厚生年金の方が自身の老齢厚生年金より高額であることから、遺族厚生年金を選択すると結果として妻自身の保険料拠出が活かされないという指摘がされていました。
今回の改正では、この点に考慮して、妻の老齢年金の1/2と、遺族厚生年金の2/3(夫の老齢厚生年金の1/2相当)を併給できる途を新たに設けることとしました。
この結果、妻の老齢厚生年金額が夫の老齢厚生年金額より定額だが、その1/2より高額の場合は、この新しい方式を選択した方が原則年金額は増えることとなりました。
次に、保険料の引き上げについてですが、公的年金制度は現役世代が高齢者世代を支える世代問扶養の仕組みとなっているように、将来の現役世代の負担が過重にならないように給付と負担のバランスを図らなければなりません。
今回の改正では、将来にわたり年金財政の安定を確保するため、一定水準の積立金を保有し、その運用収入の活用を通じて最終保険料負担を軽減するとともに、現在の現役世代と将来の現役世代の負担の公平を図る観点から、5年毎の引き上げ幅を従来の2.2%から2.5%とすることになりました。
厚生年金の最終保険料率は、30%以内(政府原案29.6%)におさまる見通しですが、現在の経済情勢等も考慮して、2.5%の引き上げと同様の効果を保ちつつ、2段階に分けて保険料の引き上げを行うこととし、平成6年(’94)11月から16.5%に、平成8年(’96)10月からは17.35%に改定されました。また、平成7年(’95)4月からは賞与等からも特別保険料が徴収されることとな
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